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任意売却と競売の違いを徹底比較

住宅ローンの返済が困難になった場合、最終的に自宅を手放さなければならない状況に陥ることがあります。その際、主な選択肢として「任意売却(にんいばいきゃく)」と「競売(けいばい)」の二つが挙げられます。
どちらも家を売却するという点では同じですが、そのプロセス、売却価格、そして売却後の生活への影響において、天と地ほどの差があります。
最悪の事態である「競売」を避け、より有利な条件で再スタートを切るためには、「任意売却」という選択肢を正しく理解することが不可欠です。この記事では、任意売却と競売の違いを7つの側面から徹底的に比較・解説します。
目次
そもそも「任意売却」と「競売」とは?
比較の前に、まずはそれぞれの基本的な定義を理解しておきましょう。
任意売却(任売)とは?
任意売却(通称:任売)とは、住宅ローンなどの借入金を返済できなくなった場合、債権者(金融機関など)の合意を得て、自らの意思(任意)で不動産を売却することです。
通常、住宅ローンが残っている不動産を売る場合、売却価格でローンを完済しなければ抵当権(※)を解除できず、売却できません。しかし、任意売却では、売却価格がローン残高を下回る(オーバーローン)状態でも、債権者の合意のもとで抵当権を解除してもらい、一般市場で売却を進めます。
(※)抵当権:金融機関が、融資したお金を確実に回収するために、土地や建物に設定する権利。
競売(けいばい)とは?
競売とは、住宅ローンの返済が滞った結果、債権者が裁判所に申し立てを行い、裁判所の権限によって強制的に不動産を売却する手続きのことです。
債務者(所有者)の意思とは関係なく、法的な手続きに基づいて処理が進められます。売却代金はローンの返済に充てられますが、そのプロセスは所有者にとって非常に不利なものとなります。
【徹底比較】任意売却 vs 競売 7つの違い
任意売却と競売には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。両者のメリット・デメリットが明確になるよう、7つの項目で比較します。
1. 売却価格
最も大きな違いの一つが「売却価格」です。
- 任意売却
- 一般の不動産市場で売却するため、市場価格に近い価格での売却が期待できます。相場通りの価格で売れる可能性が高いため、より多くの資金をローンの返済に充てることができます。
- 競売
- 裁判所が主導し、入札形式で売却されます。購入希望者は、室内の状況を詳細に確認できない(内見ができない)リスクなどを考慮するため、入札価格は低くなる傾向があります。一般的に、市場価格の5〜7割程度になることが多いと言われています。
【ポイント】
売却価格が低いと、売却後に残るローンの額(残債務)がそれだけ多くなってしまいます。
2. プライバシーの保護
ご近所や周囲の人に事情を知られたいと思う人はいません。プライバシーの観点でも大きな差があります。
- 任意売却
- 通常の不動産売却と同じように、不動産会社が販売活動を行います。近隣住民や知人からは、「家を売りに出している」としか見えません。住宅ローンを滞納しているといった事情が外部に漏れにくいのが最大のメリットです。
- 競売
- 競売にかけられると、その情報は裁判所やインターネット(BIT不動産競売物件情報サイト)で一般公開されます。物件の住所、写真、所有者の情報などが公になるため、ご近所や周囲の人に事情を知られてしまう可能性が極めて高くなります。また、裁判所の執行官による現況調査(家の内外の写真撮影など)も行われます。
3. 残債務の返済方法
家を売ってもローンが残ってしまった場合、その返済方法にも大きな違いが出ます。
- 任意売却
- 売却価格が市場価格に近いため、残債務を圧縮できます。さらに、売却前から債権者と交渉を行うため、残った債務の返済方法についても柔軟な話し合いが可能です。多くの場合、月々5,000円〜30,000円程度の無理のない範囲での分割返済に応じてもらえます。
- 競売
- 低い価格で売却されるため、多くの残債務が残りがちです。さらに、競売後は債権者との交渉の余地はほとんどなく、残った債務については原則として一括返済を求められます。一括返済が不可能な場合は、給与の差し押さえといった法的措置(強制執行)に移るリスクが高くなります。
4. 引っ越し時期と費用
売却後の退去についても、所有者の意思が反映されるかが異なります。
- 任意売却
- 一般の売買契約と同様に、購入者との話し合いによって引っ越し時期(引き渡し日)を柔軟に決めることができます。
- さらに重要な点として、債権者との交渉次第では、売却代金の中から引っ越し費用を捻出してもらえる可能性があります。(※必ず認められるわけではありません)
- 競売
- 落札者(新しい所有者)が決定すると、その人が法的な所有者となります。所有者の意思に関わらず、強制的に退去を命じられます。猶予期間はありますが、立ち退きに応じない場合は、最終的に強制執行(不法占拠として扱われる)となり、荷物を運び出されてしまいます。当然、引っ越し費用は一切出ません。
5. 主導権
手続きを誰が進めるか、という点も精神的な負担に大きく関わります。
- 任意売却
- 債権者の合意は必要ですが、あくまで所有者(債務者)が主体となり、信頼できる不動産会社を選んで売却活動を進めます。「自ら売却した」という形で、精神的な負担が軽減されます。
- 競売
- 所有者の意思は一切反映されません。すべてが裁判所と債権者の主導で、強制的に進められます。所有者はただその決定に従うしかなく、精神的なストレスは計り知れません。
6. 費用の負担
売却にかかる諸費用についても違いがあります。
- 任意売却
- 仲介手数料や登記費用などの諸費用は、売却代金から差し引かれます(配分されます)。そのため、所有者が新たに現金を用意する必要は基本的にありません。
- 競売
- 競売の申し立て費用や手続き費用(予納金など)は、最終的に債権者によって回収されますが、これらは売却代金から優先的に差し引かれます。その結果、ローンの返済に充てられる金額がさらに減ってしまいます。
7. 解決までの時間
- 任意売却
- 一般の市場で買い手を探すため、売却までに一定の期間(通常3ヶ月〜6ヶ月程度)が必要です。ただし、競売手続きが開始されても、開札日(入札が締め切られる日)の前日までは任意売却が可能です。
- 競売
- 裁判所の手続きであるため、スケジュールは厳格に決まっています。申し立てから開札まで、およそ6ヶ月程度かかります。
まとめ:選択すべきは「任意売却」
ここまで比較してきた通り、任意売却と競売では、所有者(債務者)にとって任意売却のほうが圧倒的にメリットが大きいことがお分かりいただけたと思います。
| 比較項目 | 任意売却 | 競売 |
| 売却価格 | 市場価格に近い | 市場価格の5〜7割 |
| プライバシー | 守られる(通常の売却) | 公開される(ネット等) |
| 残債務の返済 | 分割返済の交渉が可能 | 一括返済を求められる |
| 引っ越し | 時期を相談可、費用の交渉可 | 強制退去、費用は自己負担 |
| 主導権 | 所有者(+不動産会社) | 裁判所・債権者 |
| 精神的負担 | 比較的少ない | 非常に大きい |
競売は、住宅ローンを滞納し続けた場合の「最終手段」であり、所有者にとっては経済的にも精神的にも最も過酷な結末です。
もし、あなたが住宅ローンの返済に少しでも不安を感じている、あるいはすでに滞納が始まってしまっているのなら、一刻も早く行動を起こすべきです。「競売開始決定通知」が届いてからでは、残された時間はわずかです。
手遅れになる前に、任意売却を専門とする不動産会社や弁護士・司法書士などの専門家に相談し、最善の再スタートを切るための道筋をつけることを強くお勧めします。
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